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甘藍の芽 / 城水めぐみ
¥1,760
SOLD OUT
新本 城水めぐみ 著 港の人 2023 初版第一刷 関西在住の新鋭川柳人のはじめての川柳句集。川柳という十七音字の世界で、みずみずしい感性により言葉と自在に楽しみ、出会う。 装丁 佐野裕哉 ■収録作品より わたくしの生る樹につま先が触れる くちぶえがきこえる春のくぼみから 目印のキリンの柄が消えた町 鳥だった頃の名前で呼んでみる 月へ行く たぶんあなたじゃないひとと ■著者 城水めぐみ(しろみず・めぐみ) 岡山県出身、兵庫県在住。2016年より現代川柳を作句。『現代川柳かもめ舎』『現代川柳』会員。 ■目次 こなごな るるるるる 結び目 モノクロ りんごのうさぎ キャベツ
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架空線 / 澤直哉
¥2,200
SOLD OUT
新本 澤直哉 著 港の人 2023 初版第一刷 今、これほど澄みきった声で本を、詩を、語ることのできる人がいるだろうか。 若きロシア文学者による渾身の散文集。 本も詩も、降って生るのを寝て待つのでなく、立ち上がり、足で強く地を蹴って、空を切るように手を伸ばし、架空を束の間摑んで作られる。だから人の心をかくも狂わせ、慄わせ、高鳴らせる。──本書「跋」より 装丁 港の人装本室 ■内容 「本をめぐる こころの ことばの 形にふれる」 文芸科の学生たちへ向けた講義をもとにした文章。戸田ツトムらブックデザイナーや文学者たちの言葉を引用しながら「人のこころのあり方」「ことばとは何か」に遡って、私たちの生と死の姿としての書物を考える。 「発生へ」 ある少年と交わした会話をきっかけに、心に湧き上がる数々の思い出や詩人たちの横顔をつづる。詩のことばの響きを基調低音に、生命の内奥へと歩みを進める書きおろしエッセイ。
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能力で人を分けなくなる日 / 最首悟
¥1,540
新本 最首悟 著 創元社 2024 本書は、著者の第4子で重度の知的障害者である星子さんとの暮らしや、津久井やまゆり園事件の犯人「植松青年」との手紙のやりとり、また1977年から通った水俣の地と水俣病などについて、10代の3人の若者に語った記録である。能力主義と優生思想、人とのかかわり、個・自立・責任、差別、脳死、人の生死といのち……などをめぐって話しあい、いのちに価値づけはできるのか、「共に生きる」とはどういうことかを考える。
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デレク・ジャーマンの庭
¥4,180
新本 デレク・ジャーマン 著、ハワード・スーリー 写真、山内朋樹 訳 創元社 2024 第一版第1刷 不朽の名作、約30年ぶり待望の新訳復刊! 不朽の名作 『Derek Jarman's Garden』が、 製版のデジタルリマスターにより、 約30年ぶり待望の新訳復刊! 〈没後30年記念出版〉 * 映像作家デレク・ジャーマンの 詩的でクィアな庭づくり 〈庭の生と死が、いつしか 「ぼく」の生と死を映し出す——〉 * 1994年、AIDSでこの世を去った 映像作家のデレク・ジャーマン。 彼は晩年、イギリス南東部の最果ての岬、 原子力発電所にほど近いダンジネスに移り住む。 死の直前まで慈しみ育て続けた プロスペクト・コテージの庭は、 いつしか彼の生と死を映し出し——。 写真家ハワード・スーリーの 美しい写真とともに綴られる、 ジャーマンの穏やかな日々と 秘められた激情。 庭や植物、友人たちや恋人たち、 自身の病と死について—— 生前最後のエッセイを、 美学者であり庭師でもある訳者によって、 ついに新訳復刊! ※植物リスト付
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波打ちぎわの物を探しに / 三品輝起
¥1,980
新本 三品輝起 著 晶文社 2024 私たちはどうして物を買い、所有するのだろうか 東京西荻で20年間続く雑貨屋「Fall」の店主によるエッセイ集 物の売買を巡る状況は刻々と変化している。いままさに波にさらわれんとする物の価値をひとつずつひろいあげる珠玉のエッセイ集。本、アート、工芸、情報、音楽、おしゃれ、サブカル、聖と俗……、ゆらぎ続ける世界のはざまで生きのびる方法をケレン味のない筆致で綴る。
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被災物 モノ語りは増殖する
¥3,850
新本 かたばみ書房 2024 姜信子、川内宏泰、志賀理江子、川島秀一、川内明美、東琢磨、被災物ワークショップ参加者 宮城県気仙沼市のリアスアーク美術館には、東日本大震災の被災物が展示されています。被災物は、単に「破壊された物体」ではなく、それらが使われていた震災以前の暮らしや日常、被災者が抱える思いの記憶です。日常の中にあったころの気配を残す一つ一つの被災物に宿る記憶の"モノ語り"をとおして、他者の記憶を共有し、継承し、命を繋いでいく。このささやかなモノたちが語る記憶に応答する試みが収められています。 姜信子さんによるワークショップの記録、志賀理江子さんによる撮り下ろし写真を収録。
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かえるはかえる / 小山田浩子
¥1,980
新本 小山田浩子 著 taillight 2023 パイプの中のかえる2 「目の前のひとつひとつを信じて書いていけば小説になる」 twililight web magazineでの2023年4月~9月の連載に、書き下ろし2本をくわえた、作家・小山田浩子による第2エッセイ集。 「いまの普通はすぐ普通ではなくなるし私の普通と他の人の普通も全然違うしお互いの普通でなさもものすごく食い違う、でも私たちはそのことをいちいち口に出し確かめ合ったりしないで日々過ごしていて、だからこうして自分の普通や普通でなさを書き留めておく機会は本当にありがたかった。」
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『忘れられた日本人』をひらく / 若林恵・畑中章宏
¥1,760
新本 若林恵・畑中章宏 国鳥社 2023 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 不世出の民俗学者・宮本常一の主著のひとつであり、今なお愛され読み継がれる『忘れられた日本人』。そこに描かれた日本人の姿を、ノスタルジアや復古主義に陥ることなく、グローバリズムとナショナリズムとが錯綜する21世紀の世界のなかにいかに価値づけ、その可能性をひらくことができるのか。民俗学者・畑中章宏と編集者・若林恵が、「忘れられた日本人」の新たな姿をさがす、寄り道だらけの対話篇。
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王国の名 / 常原拓
¥2,200
常原拓 著 青磁社 2024 第7回俳人協会新鋭俳句賞準賞受賞の「秋草」所属の中堅俳人。待望の第一句集。
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西瓜 12号
¥500
SOLD OUT
短歌同人誌 西瓜発行所 2024 4月
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街のスタイル / 衣巻省三
¥3,850
新本 衣巻省三 著、山本善行 選 国書刊行会 2024 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 衣巻省三は馬込村文士の一員として、盟友・稲垣足穂とともに幻想味のある作風が高く評価されたモダニズム作家・詩人。モダニズムの華やかなりし昭和初期にボン書店などから刊行された著書はいずれも稀覯本。戦後は容易に読むことができない状態が続き、これまで幻の作家とされてきた。 左川ちかや北園克衛などのモダニズム文学が読み継がれるなか、マイナーポエットの雄として古本通から注目が集まる。モダンな雰囲気のなかにも、清冽な叙情とある種の悪戯心に溢れた詩作品、幻想味からメタフィクションまで作風の広い中短篇など、現代の読者が読んでも不思議な輝きを感じさせる。 長篇小説「けしかけられた男」は第一回芥川賞の有力候補になり、足穂や左川のほかにも、これまで萩原朔太郎、伊藤整、川端康成などが高く評価してきた。意外なところでは名フォーク歌手の高田渡が詩「アイスクリーム」を取り上げている。 本書は古本ソムリエ・山本善行氏の撰による、令和の世に贈る90年ぶりのオリジナル作品集である。
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たんぱく質 / 飴屋法水
¥3,520
新本 飴屋法水 著 志賀理恵子 写真 Palm books 2024 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー なぜか生きている 私は 私が 生と死、獣と人、食べること、殺すこと、めぐりゆく記憶 この地球に生まれ、やがて去っていく、私のすがた、この世のはなし 「生」の根源を見つめる演劇作家の集大成! 志賀理江子が、飴屋法水の小説にむけて撮り下ろした写真 およそ30点が全編をとおして織りなされる あたらしい小説体験 「人という生き物は、どうして生まれて来たのだろうか 生まれて来る、生まれて来たこれに、いろいろな何かが詰まっている これをどうしてほしいと思うのだろう 誰かに、他人というものに 誰とどのように関わりたくて、この体には、こんないろいろが詰まったのか これが、こんな体が、形成されたのか いろいろな、たんぱく質とかで 焦げるとあの匂いのするたんぱく質とかで」
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酒食年表第三 / 寺島珠雄
¥8,800
古本 寺島珠雄 著 エンプティ 1998 小口スレあり
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忘れられない日本人 民話を語る人たち
¥3,520
新本 小野和子 著 PUMPQUAKES 2024 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 東北の海辺の町や山の村で、民話を聞き訪ねて50年が経つ。 「訪う」「訪なわれる」ということは、本来、どこかで互いの殻を破ろうとする行為であったに違いない。そして、破った殻を脱ぎ捨てたときに、その前よりは「幸福」になった世界へと、お互いの身が高まったのではないだろうか ―― 小野和子 前作『あいたくて ききたくて 旅にでる』(PUMPQUAKES/2019年)が累計1万部突破し、同作で「鉄犬ヘテロトピア文学賞」「梅棹忠夫 旅と探検文学賞」を受賞した民話採訪者・小野和子による第二作目の著書。 著者に「民話」を託したそれぞれの語り手の、厳しくも豊かな生のおもしろさ。果てしない知性を宿した「忘れられない日本人」たちの、生きた姿を伝える。
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私運転日記 / 大崎清夏
¥1,980
新本 大崎清夏 著 twililight 2025 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 紹介 中原中也賞受賞詩人・大崎清夏による初めての丸ごと一冊日記の本。 “出会っても出会っても、歳をとればとるほど、自分のことをどこから話せばいいかわからない感じになっていくのだろう。だから深い関係がほしいのかもしれない。だから日記なんか書くのかもしれない” 「ほんとうにひとりのひとり暮らし」を機に、日記をつけ始めた詩人。 島での免許合宿、ソロハイク、初めてのドライブ…… 40代の広すぎる道を、確認しながら自分で運転してゆく日々が始まった。 “たぶん私はいま、自分の外に出ていきたいのだろう。 風で道の脇に落ちた、小枝のようなものになりたいのだろう。 そういう私自身を、じっくり引き受けてやりたいと思う” “忘れたくないことも、忘れがたいことも、早く忘れたいことも、日記に書いてしまえば、安心して忘れられる。すべて忘れても何ひとつ忘れることなんてないことを、日記を書くことは慰めてくれる” 装画・挿画:nakaban デザイン:横山雄
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イギ / 千種創一
¥1,980
新本 千種創一 著 青磁社 令和4年 『砂丘律』、『千夜曳獏』と存在の根源的な孤独に向き合いながら短歌を詠み継いできた千種創一が放つ初の詩集。 短歌を素地とした確かな修辞力で現代詩に新たなページを刻む一冊。 中東の難民、テロ、そしてジェンダーなど現代社会が抱える諸問題に真っ向から取り組んだ意欲作。 2021年現代詩「ユリイカの新人」受賞。
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千夜曳獏 / 千種創一
¥1,980
新本 千種創一 著 青磁社 令和3年 第2刷 歌壇内外に旋風を巻き起こした第一歌集『砂丘律』から四年・・・ 沈黙を破って待望の第二歌集。 四六判変形並製 246ページ
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髷を切る / 芳賀博子
¥1,320
新本 芳賀博子 著 青磁社 2023 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2018年に出版された著者2冊目の川柳句集「髷を切る」を文庫化。 文庫化に際し新章を追加。 帯、解説:町田康 ●芳賀博子 1961年、神戸市生まれ。30代に時実新子の川柳と出会い、師事。「時実新子の川柳大学」元会員。句集『移動遊園地』(編集工房 円)、『髷を切る』(青磁社)。2021年、川柳を中心にことばの魅力をウェブで楽しむ会「ゆに」を創立、同会代表。
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ひとが詩人になるとき / 平川克美
¥2,090
新本 平川克美 著 ミツイパブリッシング 2024 第1刷 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 詩を書くことで、ひとは詩人になる―― 言葉が蹂躙される時代に放つ、極私的詩人論。詩人に憧れながら実業家として半生を歩んだ著者が、幾度となく読み返してきた作品を再考察。なぜ、彼ら彼女らは詩人になったのか、その謎に迫る。「言葉が鍛えられる場所」シリーズ、待望の第3弾。 もくじ 第1章 堀川正美 新鮮で苦しみ多い日々 第2章 黒田三郎 場違いな場所で途方に暮れているひと 第3章 茨木のり子 彼女がひとりで立っていた場所 第4章 小池昌代 欠如という存在感 第5章 黒田喜夫と「列島」の詩人たち 革命の知らせはついに届かず 第6章 友部正人 倫理的な吟遊詩人 第7章 清水哲男と清水昶 際立つ個性が描いた双曲線 第8章 北村太郎 敗者の直喩 第9章 下丸子文化集団 工場の町に生まれた詩 第10章 小田嶋隆 誰よりも詩を憎んだ男が愛した詩 第11章 伊藤比呂美 現代の言文一致 第12章 鶴見俊輔 この世界を生き延びるための言葉 第13章 寺山修司 虚構が現実を越える瞬間に賭ける 第14章 石垣りん 生活者の芯 第15章 吉本隆明と立原道造 硬質な抒情の前線 第16章 批評的な言葉たち 言葉の重奏性をめぐって
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だめ連の資本主義よりたのしく生きる
¥2,860
新本 神長恒一、ペペ長谷川 著 現代書館 2024 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【内容】 資本主義で「ファイア」するのではない。 オルタナティブに生きて、資本主義を「ファイア」するのだ! いまこそ、「だめ連」の話を聞いてみたくなった。 1992年、早稲田大学を卒業後、大手百貨店に就職したものの10か月で「引退」した神長さんと、神長さんと同級生であるものの留年を重ねていたペペさんは「だめ連」を結成。生産性というモノサシで人がはかられる資本主義社会を問題とし、社会の変革とオルタナティブな生き方を提唱。以降、おもに路上を舞台に交流・トーク・イベント・諸活動路線で活動。「どんな人生、社会がいいのか?」を人びとと語りあいつながりながら、労働と消費中心でない生き方を実践してきた。 あれから30年。テクノロジーはめざましく進歩し、便利で安心で安全な世の中を生きている気になっていた。なのに、生きづらさを訴える人たちが増え、「勝ち組・負け組」の競争社会が激化してしまった。挙げ句の果てに、どうでもいいような仕事の増加、サービスのためのサービス、危機的な気候変動、見えすぎる未来によって締めつけられる現在、といったありさま。やりたい放題の資本主義というシステム。どうしてこんなことになってしまったのか、どうやって生きていくのいいのか。多くの人がもがいている。 そんななか、中国では「寝そべり族」が、アメリカでは「アンチワーク」を訴える人たちが登場。こんな社会で働きたくも消費したくもないと、資本主義に対してボイコットしている……。もうだめ連しかないでしょう! 本書では、だめ連30年の活動を振り返りつつ、行きすぎた資本主義に対して、あまり働かない人生、生きている実感のある人生、たのしんでもいい人生、集いのある人生、爆笑のある人生、交流のある人生、つまりオルタナティブな生き方をぞんぶんに語りあってもらいました。 だが、軽い気持ちではじまった「トーク」は、鼎談も合わせると、な、な、なんと、50時間! 雑談あり、重要なテーマあり、爆笑ありの大著となってしまいました。 人間解放。熱くレヴォリューション? 交流無限大、っつうねえ。 グッ、ヒャヒャヒャヒャ(爆笑)。 もくじ はじめに その1 生きる、暮らす 仕事と人生 食のよろこびを取り戻す 住む、暮らす その2 遊ぶ 交流・トーク 表現をする 自然の中で遊ぶ 旅と合宿 お祭りとレイヴ その3 アクティビズム デモ さまざまなアクション オルタナティブ・スペース イベント インディーズメディア その4 交流・トーク だめと思われたくないプレッシャーと優越感からの解放! 大座談会 孤立と居場所、その他諸問題をめぐって 鼎談1 酒井隆史+栗原康+神長恒一 資本主義の外への想像力と生の躍動 鼎談2 雨宮処凛+松本哉+神長恒一 好き勝手にたのしく生きる! あとがきにかえて 対談収録について 神長恒一(かみなが・こういち) 無職、フリーター生活30年。 だめ連。そのほかいろいろ活動。 子どもの頃は、カエルや虫を捕るのが好きだった。 あんまり働かず、寝るのと遊ぶのが好き。 週末は、オルタナティブなイベントに行って交流しがち。 ペペ長谷川(ぺぺ・はせがわ) バイト暮らし30年。
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新居格随筆集 散歩者の言葉
¥2,200
SOLD OUT
新本 新居格 著、萩原魚雷 編 虹霓社 2024 サインなし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 紹介 戦後初の杉並区長として知られる新居格 随筆家としての名文を荻原魚雷が厳選 戦後初の杉並区長として知られる新居格(にい いたる)。著作リストが作れないほど多くの随筆や評論、批評を遺したものの、代表作と呼ばれるような作品もなく、『杉並区長日記』(弊社刊)と翻訳書(パール・バック『大地』等)を除いて新刊で読める本はない。 アナキストを自称し、議論を嫌い、知識人や文化人と呼ばれることを恥じ、戦時中も市井の人々や日々の生活を大切に生きた新居。そんな新居と同じく、散歩と読書をこよなく愛する高円寺の文筆家・荻原魚雷が、時に弱音や愚痴をこぼす彼の随筆を厳選、今の時代に蘇らせる。42の随筆と1つの詩を収めた名随筆集が誕生。 【本文表記:新漢字、旧かなづかい】 「注文に応じて書いてきたような短文は後世に残りにくい…没後もずっと読み継がれるような作家なんて、文学史の中でも一握りしかいない。だけど、一握りからこぼれた作家にも素晴らしい文章を書く人はいる。新居格もそのひとりであろう。」 (荻原魚雷・編者解説「高円寺の新居格」より) 目次 (詩) 自由人の言葉 爽やかな海景 性格破産者の感想 モダンガールの心臓 大地震の思ひ出 正月 春の淡彩 微涼を求めて 冬日独語 散歩者の言葉 小さな喜び 雑草の如く 断想 生活の錆 或る日のサローンにて 五月と読書生 時間 街と同盟する言葉 世界的なもの 批評家の生活 街の銀幕 林檎畠にて 鮒を釣る卓 凡人私語 晴日の書窓にて 或る日に思ふ 生活の楽しさ 人生老い莫し 貧民の叡智 小さな世界 旅する心 燕雀の志 春に考へる 書斎の春 順境・逆境 本と読書との好み 金について 眠むれぬ或る夜 菜園 散歩の哲学 高円寺にて 新生日本の姿 編者解説 高円寺の新居格(荻原 魚雷) 版元から一言 2017年に『杉並区長日記 地方自治の先駆者 新居格』を復刊(旧版は1955年)したのですが、それまで新刊で購入できる新居の著書はパール・バック『大地』(新潮文庫)の翻訳本しかありませんでした。多くの随筆や評論を遺したにもかかわらず、です。『杉並区長日記』はおかげさまで多少の評判にはなり、忘れられていた「新居格」という人物に注目していただくきっかけにはなりました。それはとても喜ばしい反面、1年にも満たない区長時代のみにスポットが当たってしまうことに少なからず違和感はありました。ならば次は随筆を復刻しよう、という宿題を自分に課したのです。 そんな思いを抱えていたころ、ブログなどで新居格によく言及していた荻原魚雷さんに出会いました。そこで、思い切って随筆集の企画を相談したところ、快く選者を引き受けていただけることになったのです。虹霓社は田舎暮らしがベースで、「出版社」というより「出版活動」とでも呼ぶべき制作体制ゆえ、刊行までにだいぶ時間がかかってしまいましたが、荻原さんが数ある随筆からじつに魅力的な作品を選んでくださったおかげで、ようやく新居の新たな随筆集が誕生しました。 ぜひ新居の素晴らしい随筆を味わっていただければ幸いです。 著者プロフィール 新居 格 (ニイ イタル) (著/文) 1888(明治21)年、徳島県板野郡(現鳴門市)生まれ。東京帝大卒業後、読売や東京朝日などの新聞記者を経て文筆生活へ。個人の自由を重んじるアナキズムの立場から文芸評論や社会批評を論じる。パール・バック『大地』やジョン・スタインベック『怒りの葡萄』等、多くの翻訳も手がけたほか、「左傾」「モボ」「モガ」など時代の流行を上手く捉えた造語も生み出した。戦後は初の公選杉並区長や生活協同組合の理事長を務めるなど、市井の人々や日々の生活を大切にした。1951年逝去。享年63。主な著書に『季節の登場者』『アナキズム芸術論』『生活の錆』『女性点描』『生活の窓ひらく』『街の哲學』『心の日曜日』『市井人の哲学』『杉並区長日記』など多数。 荻原魚雷 (オギハラギョライ) (編集) 1969年、三重県鈴鹿市生まれ。文筆家。著書に『中年の本棚』『古書古書話』『日常学事始』『本と怠け者』『古本暮らし』ほか、編者をつとめた本に梅崎春生『怠惰の美徳』『吉行淳之介ベスト・エッセイ』尾崎一雄『新編 閑な老人』富士正晴『新編 不参加ぐらし』などがある。
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アルテリ 十六号
¥1,320
新本 アルテリ編集室 2023 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 熊本発の文芸誌の16号。今回は2022年12月にお亡くなりになった渡辺京二さんの追悼号です。 水俣病闘争の時代からお付き合いのあった人、会いに通った人、ご家族、編集者、数えるほどしか会えなかった人、叱られた人……それぞれの思い出を語ってくださいました。 前号に引き続き石牟礼道子さんの日記も掲載。解説は梯久美子さん。石牟礼道子さんからの献花として「花を奉るの辞」も掲載いたしております。追悼号が渡辺さんの著作を読むきっかけになってくださればうれしいです。 _____ 〈目次〉 渡辺京二 「短歌」 山田梨佐 「父について」 町田康 「懼の持続」 池澤夏樹 「亡き人からの便り/今は行けない二つの場所」 伊藤比呂美 「読んだかね」 石牟礼道子 「日録⑧」 平松洋子 「ふたりでひとり」(日録解説) 石牟礼道生 「渡辺京二様 有難うございました」 米本浩二 「夢も闘争も革命も 渡辺京二さんを悼む」 松下純一郎 「あの日の激高、渡辺京二さんのこと」 磯 あけみ 「立葵が咲いていた」 坂口恭平 「故郷」 髙山文彦 「一本の樹木」 大津 円 「『バカ娘』からの手紙」 西 泰志 「怖くて優しくてカッコよすぎる人」 田尻久子 「エクレアといなり寿司」 平田洋介 「マイクにゴン」 浪床敬子 「渡辺京二は何者だったか」 阿南満昭 「困った人だった」 石牟礼道子 「花を奉るの辞」
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アルテリ 十七号
¥1,320
新本 編集:アルテリ編集室(橙書店)P138 A5判 2024年2月刊 デザイン:大畑広告準備室 装画:アオ 橙書店発行の文芸誌17号。表紙はアオさんが描いた石牟礼道子さん。今回は、一九七三年から七四年にかけての渡辺さんの日記の後半を掲載しています。忙しく動きまわり、ほぼ毎日何かしらの本を読了している若き渡辺京二さんの日記です。石牟礼道子さんの日記も引き続き掲載。石牟礼さんの頭の中をそっとのぞいているようでどぎまぎします。日記解説は当時をよく知る磯あけみさん。初登場の藤原辰史さんは、石牟礼さんとの大切な思い出をわけてくださいました。谷川俊太郎さんや池澤夏樹さんなど、おなじみのメンバーも登場します。お楽しみください。 〈目次〉 谷川俊太郎 「木を呼ぶ」 池澤夏樹 「自分の痕跡」 藤原辰史 「石牟礼道子さんから受け取ったもの」 吉本由美 「あなたとならどこまでも」 石牟礼道子 「日録⑨」 磯あけみ 「握り飯半分こ」(日記解説) 坂口恭平 「歌」 水野小春 「窓辺の裸婦」 渡辺京二 「日記抄⑤」 田尻久子 「ヒメツルソバ」 浪床敬子 「連理の枝」 ゆうた 「国と憲法と私」
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〈寝た子〉なんているの? / 上川多実
¥2,640
新本 上川多実 著 里山社 2024 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 関西の被差別部落出身で解放運動をする両親のもと、東京の部落ではない町で生まれ育った著者。家では両親から「差別に負けるな」と言われ、外では「部落なんて知らない」と言う友人たちに囲まれ、混乱しながら自分なりの部落差別との向き合い方を探り大人になる。やがて2児のシングルマザーとなった著者は子どもに、ママ友に部落をどう伝える!? 日常の中で見えづらい差別は当事者をどう惑わせ苦しめるのか。泣いて笑って、やがて日本社会の様々なマイクロアグレッションに気付かされる、まったく新しい痛快自伝エッセイ。帯:温又柔 ◉目次◉ 1「部落解放運動」の家に生まれて おじいちゃんの爪/大きくなったら何になる?/「歌ってはいけない歌」君が代/〈部落〉が理由で就職できない!?/結婚差別ー会えない父の妹/「ある」のに「ない」とされること/「部落差別はない」と先生は言った/「運動」の家からの独立etc... 2〈部落〉を子どもにどう伝える? 結婚と出産/「養ってもらってる」から仕方ない?/〈部落〉を伝えるサイトを作る/ママ友とする部落の話/セクシュアルマイノリティの友だち/女の子だから・男の子だから/ママが、その“ぶらく”なの?/裁判の原告になる/「寝た子を起こすな」とマイクロアグレッション/「部落ルーツですっ」etc...